篤姫

■放送期間:2008(平成20)年1月〜12月
■原作:宮尾登美子
■脚本:田渕久美子
■出演者:宮アあおい 瑛太 松坂慶子 高橋英樹 堺雅人 北大路欣也
■見所:大河ドラマの主役としては最年少になる宮アあおいの好演が評判となり、10年以内では最高の視聴率をとった作品。

原作は宮尾登美子の小説『天璋院篤姫』。
主人公は江戸幕府13代将軍・徳川家定の正室である篤姫(のちの天璋院)。
女性主演の大河ドラマは2006年の『功名が辻』以来2年ぶり7作目。
幕末を扱った作品は2004年放送の『新選組!』以来、宮尾登美子原作は2005年の『義経』以来の2度目。

江戸時代末期、鎖国状態にあった日本が諸外国からの脅威に晒されていた時代に、歴史の影で活躍した主人公・篤姫に焦点を当てる。
ホームドラマ的要素を強め、夫婦の日常、さらに篤姫が自分にとっての家族(=大奥の女性達)を最後まで守り抜き、その中で一途に平和を願い続ける姿を描いた。

また、これまで歴史の影に隠れがちだった薩摩藩家老・小松帯刀にも焦点を当て、薩摩藩の中心人物として描いた。
他に西郷隆盛・大久保利通ら薩摩藩の面々や、勝海舟・坂本龍馬らのような一般に知名度の高い人物も登場した。
従来のイメージとは少し違った描かれ方をするものも多く、例えば井伊直弼は、大弾圧を指揮し、将軍継嗣問題や幕政方針で主人公と対立するものの、一定の見識を持って行動し、主人公にも認められるひとかどの人物として描かれている。
これらの幕末群像はオリジナルであり、大部分が大奥での出来事の描写に終始する原作と比較して、ドラマにより厚みを感じさせるものになっている。

主演の宮アあおいは大河ドラマ初主演かつ史上最年少である。
また、本作の第2の主人公とも言うべき小松帯刀役に瑛太、篤姫の夫である江戸幕府13代将軍・徳川家定役に堺雅人がそれぞれ起用された。
さらに、北大路欣也・高橋英樹・松坂慶子など大河ドラマ常連のベテラン俳優から堀北真希・玉木宏・松田翔太など民放ドラマで活躍中の若手俳優、原田泰造・春風亭小朝のようなタレントや落語家に至るまで、幅広い顔ぶれが勢ぞろいした。
特に、鹿児島県が舞台となる今作では、音楽担当の吉俣良や出演者の一部(沢村一樹、山口祐一郎、稲森いずみなど)に鹿児島県出身者が起用されている。

これまで視聴率が取れないとされてきた「幕末もの」でありながら女性層の支持を背景に高視聴率を維持して、大河ドラマとして初めて本放送期間中の集中的なアンコール再放送が行なわれるなど人気を得た。
特に最終回直前の12月12日には急遽第48回が再放送され、結果的に3日間連続で同作が放送された。
全50回の平均視聴率は24.5%で、幕末を舞台とした大河ドラマとして過去最高、過去10年の大河ドラマとしても、2002年の『利家とまつ』の22.1%を抜いて、最高の視聴率となった。
また、同年の年末に3夜連続で総集編が放送された。
(12月26日〜28日)
また放送を機に、江戸幕末の薩摩史に関する再検証が活発となり、それまで謎とされてきた篤姫付き老女“幾島”の詳細な経歴や篤姫の江戸行き道中が本州では陸路であったことなどが判明した。
さらに、これまで西郷隆盛、大久保利通らの陰に隠れがちであった小松帯刀の存在についても、改めて注目を集めることとなった。

本ドラマでは、登場人物が方言である薩摩言葉を使用するか否かによって、身分の違いを表現している。
例えば、島津家・小松家のような上級武士の家は薩摩言葉をほとんど使用しないが、逆に西郷家・大久保家のような下級武士や低い家柄出身の女中などは薩摩言葉を使用している。
これは、家格の高い武士は当時、江戸における他藩との交流に備えて言語の矯正が命じられていたということ、篤姫の父・忠剛や島津家当主・斉彬が長く江戸で生活していたことなどの事実に基づいている。

オープニングの映像はグスタフ・クリムトの画風をモチーフとしている。
オープニング映像には宮ア本人が出演しており、主人公(の姿)が登場するのは『利家とまつ』以来6年ぶりとなった(本作以降の大河ドラマでは、オープニングに主人公の姿が登場するのが定番となっている)。
スタッフ・キャストのテロップは2005年の『義経』以来3年ぶりに縦書きとなった。
また、役名と演者とを1行でまとめ(これは次作以降の大河ドラマも同様)、ピンクレジットの多く(第7回以降は語り・制作統括・演出を除く全員)に帯状の背景が付けられている。
最終回と総集編のみスクロールのクレジットをとった。

NHKエンタープライズは、無秩序に使われるのを防ぐ目的で「篤姫」「大河ドラマ篤姫」を複数の品目で商標登録し、使用者には使用料を徴収する予定である。
「篤姫」という歴史上の固有名詞を独占していいのかと批判が出ているが、NHKでは過去の大河ドラマでもやってきたこととしており、商標登録の撤回は行なわない模様である。

篤姫の地元・鹿児島地区では、第2回の視聴率が29.3%を記録(初回は測定対象外)、その後もほぼ30%台を維持し、第36回には41.9%を記録した。

篤姫の関東地区での最高視聴率は第48話の29.2%で、篤姫の地元鹿児島地区での最高視聴率は最終回第50話での43.1%である。

近年の大河ドラマでは第1回と最終回が1時間の放送となるのが通例だが、今作は好評により、最終回は1時間10分という異例の放送となった。
最終回の放送時間が1時間を越すのは1991年の太平記以来17年ぶり。
なお、翌年の『天地人』の初回と最終回は1時間15分とさらに5分伸びた。

2008年12月12日、宮アから翌年の大河ドラマ『天地人』の主人公・妻夫木聡への主役バトンタッチの儀式がNHK放送センターで行われた。
その際、宮アは鹿児島県のさつま揚げ、妻夫木は新潟県の南魚沼産のコシヒカリの米俵と、ドラマの舞台の名産品をそれぞれ持参し、プレゼント交換した。

本ドラマが高視聴率を獲得できた要因の1つとして、田渕久美子による優れた脚本が挙げられる。
その腕前を買ってNHKは2011年の大河ドラマを田渕原作・脚本の『江?姫たちの戦国?』に決定した。
なお、大河ドラマで原作・脚本を担当した女性ライターは、これまでは橋田壽賀子ただ一人である。

2010年1月よりNHKオンデマンドの「特選ライブラリー」で有償配信されている。
第1回はNHKオンデマンド会員であれば無償で視聴できる。
第2回以降は1回315円(税込、72時間視聴可能)、2〜15回までが40日間視聴可能なパックが3,150円(税込、16〜30回は2月、31〜最終回は3月配信予定)である。

2009年度に台湾のケーブルテレビにて放送開始したが反響が頗る良く合計10数回も再放送された。
本編以外にも鹿児島市の宝山ホールで収録された「篤姫」スペシャルトークや「篤姫」トーク&コンサートまで何度も再放送され熱狂的ファンがツアーや個人旅行で日本まで観光に押し寄せるほどであった。

2010年4月9日より毎週金曜日14時〜NHKBSハイビジョンで再放送開始した。
(Wikipediaより)

 
スワップポイントが収益